ストレスと弛緩
あらゆる生命体(原子、分子も)はストレスと弛緩のバランスのうちに存在している。
知能発達は、
予測不可能の未知(ストレス)に踏み込み、それを同化、消化して、
予測可能の既知(弛緩)に組み込むことの反復から成り立っている。
未知のものと同化や適応が起こるたび、弛緩状態の範囲は広がる。
弛緩の範囲が広がれば広がるほど、予測可能な基盤が与えられ、
より大きなストレス(未知の世界)へ入り込んでいく能力が高まる。
身体の協調、意思決定、新しいデータの転送、新たな調整、
これらは全て、その仕事に見合った警戒態勢(ストレス)を必要とする。
車の運転に慣れた者は、脳の自動パイロットに仕事を引き継ぐので、
運転しながら考え事をしたり、お喋りしたりできる。
そこで事故を起こしたとしよう。
身体は警戒態勢に入り、闘争反応が身体を支配するので、
お喋りをする余裕など無くなる。
緊急事態が終わると、危機解除の合図が体中に鳴り響き、副腎ステロイドの分泌が止まり、心臓の鼓動が正常に戻り、筋肉が弛緩する。
しかし結果が上手くいかず、ストレスが高まり続けると、ショック状態を起こすことがある。
適応不可能な高いストレスと重大危機の波だけが押し寄せると、
身体はその感覚情報の摂取をやめ、一切拒否してしまうのだ。
そういった状態で身体が学習するのは否定的である。
現実そのものの喪失、つまり小さな死によって高いストレスを乗り越えたことを学ぶだけである。