ストレスの必要性
人間は、自分の周囲で起こっている出来事の結果が大体わかっているときは、
かなり受け身のままリラックスしている。
ほんの限られた感覚情報だけ持ち、ごくたまに外界に関わればよい。
感覚は、休みなく周りの世界の情報を報告してくるが、
これも単調で退屈なものになってくる。
人生のかなりの時間は繰り返しであって、
どんなことでもしばらく繰り返されると意識の端から消える。
繰り返される感覚情報の編集を脳の自動プロセスに任せるのだ。
このように我々大人は、最小限の感覚情報でやっていける日常を手に入れることに生活の大半を費やす。
しかし、知能は、予測可能の既知から予測不可能の未知へ進むことによって発達する。
未知の物事は、脳システムが自動的に編集することができない感覚データを挿入してくる。
その時、本来の編集長であり決定権を持つ『自己』がその場に呼び出される。
身体の全プロセスは警戒態勢に入らなければならない。
無変化の日常を超える出来事が起こると、身体が警戒態勢に入る。
脳下垂体が副腎ステロイドを活性化させるホルモンを放出する。
これらのホルモンは、状況に応じて身体と脳を刺激、活性化し、眠りたがっているシステムを起こす。
『緊急事態に対応する』ために身体と脳をこのように組織させるのが『ストレス』である。
このストレスが知能を発達させる。