未知との遭遇が知力を育てる
知力とは、相互に作用しあえる能力のことである。
そしてこの能力は、既知から未知のものへ移行する中でのみ培われる。
この、既知から未知への移行こそが『成長の鍵』である。
知力障害の原因のほとんどは、この移行が上手くできないことによる。
というのも、我々大人は、子供が身体の五感全てを動員して地球と相互作用することを許し続けることができない。
そればかりか焦って、子供の発達段階にふさわしくないものに接しさせたり、適切でない体験に子供を駆り立てたりして、子供が未知のものと交渉するのを邪魔し、知的発達を妨げているのだ。
誕生の時以来ずっと、知性は『具体から抽象へ』の道を辿って発達する。
全ての思考は、具体的なものから生じる。
つまり、地球の物質(岩、木、風、物、人間)と、
その法則(転ぶと痛い、火は熱い)などの知識を体系化しない限り、
思考や概念は発達してこない。
子供の知性を養い育てるには、
具体性から抽象性へと向かうこの道を尊重しなくてはならない。
人間の思いは、下等動物が持つ「身の安全への関心」だけではなく「幸福への関心」へ繋がっていく。
そこに行きつくには、自分の肉体を守る方法や手順、身の安全という具体的に必要なことは既に達成され解決されたものとなっていなければならない。
したがって、親は子供をあるがままの地球と的確かつ存分に相互作用させなければならないのである。